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無索式の無人潜水機では、その動力源は有人潜水船同様電池システムを使用しているものが殆どであり、上述のようにその調査時間に制限が生じる。
以上の海中動力源の現状を踏まえ、今後の海洋調査に適用される海中動力源として要求されるニーズを以下に示す。
?海上支援から独立し、長時間運航可能であること
?小型・軽量性
?静粛性
?安全性・信頼性
e.スターリングエンジンの適用性
前記の海中動力源に対する要求を、スターリングエンジンの特徴と対比しながら、同エンジンの適用性を考える。
(1)海上からの独立性(長時間運航)
海上からの支援を必要としないと言うことは、支援母船の海上気象による影響を受けず、調査・研究活動の自由度が大幅に増大することを意味する。
スターリングエンジンを使用した海中動力源システムでは、潜水機内に熱源供給に必要な酸化剤タンク及び燃料タンクと、排気ガスを周囲海水圧力以上に加圧し系外へ排出するための排ガス排出装置を装備することにより、燃料の続く限り海上からの支援を受けることなく、独立性を確保することが可能である。
その連続使用時間としては、後述する実用型スターリングエンジンであるKockms社”V4-275R”を海中動力源に適用した潜水艦”Nacken”及び水中作業船”SAGA-1”の公表データによると、潜水艦”Nacken”(常用出力:約65kWX2)で約280時間、水中作業船”SACA-1”(約65kWX2)で10日間と報告されており、これらの開発例からスターリングエンジンを使用することにより、海上支援から独立し長期間連続で使用可能な潜水機種の開発が十分可能と考えられる。
(2)小型・軽量
海中動力源に対しては、海上支援からの独立性に加え、搭載スペースの制約や、連動性能向上等の理由から、極力小型軽量であることが望まれる。
妻3.1.1-1に、有人潜水船にて主に使用されている二次電池とスターリングエンジンとの重量及び容積の比較を示す。尚、本算定では潜水船の所要動力は、潜航・浮上時を5kW、航走時(速力3kt)で15kW一定と仮定して比較した。
これからわかるように、短期間の運用では、所要補機点数の多いスターリングエンジンは、重量・容積とも二次電池とほぼ同等であるが、

 

 

 

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